逆髪 〜 順逆の理 〜 sakagami

※最下部に、解説を載せています。

 

 

嘲りの 細波の 

打ち寄せ くる 

 

あてどなく 

行方なく 

 

彷徨う 旅

 

都 出でて 

西も 東も 

さだめぬ まま…

 

 

子どもらよ 

逆さまに

生えて のびる 

 

この髪を 

逆髪…と 

笑うのなら

 

水面に 揺れる月も 

また 逆さよ

 

 

地(じ)の 種が 

芽を 吹いて 

空へ 伸びるも 

逆さま

 

民の子が 

皇女(ひめみこ)を 

笑いとばすも 

逆さま

 

この世の 

なにを 順逆 と 

言うのでしょう

 

 

 

嘲りの 細波に 

足を とられ   

 

疲れ果て 

狂い哭き 

 

辿り着いた

 

 

ここは 

 

逢坂 

 

逢坂山か…

 

    

いずこから

聞こえ来る           

 

懐かしき

琵琶の音よ… 

     

いずこから…

 

 


<解説>

蝉丸」の方にも記述してるのでご覧ください。

「逆髪」は、舞台になっている「逢坂山」の

 坂の神(さかがみ)から、蝉丸の姉として

 の人物設定が生まれたのだそうです。

 

*テーマ「会者定離」について

 命あるものは、必ず死に、出逢ったものは

 必ず別れることになる。

 これは「生者必滅会者定離」(遺教経)

 からきているみたいです。

 遺教経とは、釈尊が入滅のとき、弟子達に

 最後の説法をなした情景を描いている教典

 とのことです。

 

*テーマ「順逆の理」について

 逆さまに生えている髪を嘲笑う子供達に

 狂乱の逆髪が、語りかけている言葉です。

「種は地面から伸びて、やがて梢となり、

 月は天にあるのに、水面に光を映します。

 髪が逆さまと笑うけれど、一体、なにが

 順で、何が逆、なのでしょうか?」

 現代でも、とても響く言葉だと思います。

 これがまともで、あれはおかしい、とか、

 これが善き人で、あれは悪い人だ、とか、

 一方的に見て判断しがちな人間に対しての

 知性あるツッコミが、とてもかっこいい!

 逆髪さんは、大好きなキャラクターです☆