羽衣 hagoromo

※最下部に、演奏会での解説を貼っています※

 

 しらじらと 

 

 春の 朝 

 

 月を 残して 

 

 夜が 明ける

 

 

 どこからか 

 

 聴こえて くる 

 

 羽音に 見やれば 

 

 

 あれは 目映き 

 

 天の 羽衣

 

 

 松の 枝先 

 

 馨しく 

 

 かかる 浮き世に 

 

 麗しき

 

 

『その衣は 

 

 わが身の 羽根 

 

 月へ還る 命綱

 

 

 この 浜辺に 

 

 見惚(三保)れるうち 

 

 風に 飛んで

 

 しまったの』

 

『返してくれたら 

 

 その衣で 

 

 天空世界 

 

 描きましょう

 

  

 いいえ

 

 うそなど ありませぬ  

 

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 疑ひは 人間にあり

 

 天に偽りなきものを 

             ……(謡曲引用)

 

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 春の宵 

 

 月明かり 

 

 三保の松原 

 

 天女舞

 

 

『月には 

 

 三十人の天女が

 

 おってな  

 

  

 白い衣と 黒い衣の

 

 半分ずつで 

 

 番をする     

 

 

 月の 満ち欠け 

 

 番をする』

 

 

『戻ります 

 

 泰平の 

 

 世を願ひて 

 

 満月へ』

 



<曲の解説>

 幽玄世界のにじり口の初演(2017.12.22)にて

 お配りしたパンプレットの文章を、そのまま

 転載します。

 

 

幽玄世界のにじり口     2017.12.22.

 

本日は、ご来場いただき誠にありがとうございます!

今宵お届けする曲は、お能の演目を題材に創作させて

いただいた、十四篇の梅吉曲でございます。

 

お能について正式な知識もない梅吉の、個人的な感性

のみで、自由気儘に創らせていただいている楽曲であ

りますことをご了承のうえ、十四篇の世界をご堪能頂

けましたなら、幸いでございますm(_ _)m

 

<羽衣(駿河·三保の松原)>

漁師白龍が、三保の松原で水浴びしていた天女の羽衣

を見つけ、家宝にしようと持って帰ろうとします。

それに気づいた天女は、それがないと天に帰れないの

で返して欲しい!と懇願します。

 

白龍「天女の舞を見せてくれたら、羽衣を返そう」

天女「その羽衣がないと、舞うことができません」

白龍「返したらそのまま天上へ逃げ帰るつもりだろ」

天女「いや疑ひは人間にあり、天に偽りなきものを

 

天女は、返してもらった羽衣を身につけて舞います。

月の都には白い衣と黒い衣を纏った天女が仕えており

 

毎晩交代で月の満ち欠けの番をしているそうな…。