山姫さまと兄妹

 

色づく 山肌は 

 

わらわの 晴れ衣裳 

 

 

紅に 織りあげて 

 

身に まとう

 

 

美空に 映えるだろう 

 

踊って みせようか

 

 

一本足の わらわは 

 

美しい…

 

 

里では ふた足の輩が 

 

稲を 刈る 

 

遠くから 

 

この姿を 見るがいい

 

 

わらわは 山姫じゃ 

 

この山の 女神じゃ

 

ふた足の おまえたちは 

  

近づくな…

 

 

 

山姫さまに 

 

逢いたいな 

 

ひとめ だけでも 

 

逢いたいな

 

 

片足とびで 登るのさ 

 

十と 七つの 

 

栗の実 持って

 

 

妹よ とめないでくれ 

 

山姫さまが 呼んでいる

 

 

遠くから 見ているだけじゃ 

 

どうにも がまんが

 

できないよ

 

 

(語り)

おまえは 誰じゃ 

おおぉ… 一本足の若者…

永い間 そなたを

待っていました…

さあ もっと近くに来て 

わらわと 一緒に

踊りましょう

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