江口 〜 無常に咲く花〜 eguchi

※最下部に、演奏会での解説を貼っています※

 

月の光 つつまれて 

すべるような 舟遊び

 

あれは 遊女たちの歌声

 

みるみるうちに 普賢菩薩さま 

化身を解いて 唄い出した

             

 

迷うのなら 迷えるまま 

迷えばこそ 生きた灯 と

 

 

世人と 世捨て人を 隔つ声

浮き世に ささやく 戯れ言

 

そなたも わたしも 同じまぼろし 

すべては ただ 流れゆく

 

 

小舟のように 身をゆだねて 

笑いながら 泣きたいだけ 

 

泣きなさい

 

 

いにしへ いまは昔 それもまた

現世と みせかける 仕掛け

 

 

留まらない 無常に 咲き 

 

いつの ときも 

 

どこにも いる

 

 

わたしは いま 

 

わたしは 此処

 

 

誰しも いま   

 

いま… 

 

此処…

 

 

 



<曲の解説>

 幽玄世界のにじり口の初演(2017.12.22)にて

 お配りしたパンプレットの文章を、そのまま

 転載します。

 

 

幽玄世界のにじり口     2017.12.22.

 

本日は、ご来場いただき誠にありがとうございます!

今宵お届けする曲は、お能の演目を題材に創作させて

いただいた、十四篇の梅吉曲でございます。

 

お能について正式な知識もない梅吉の、個人的な感性

のみで、自由気儘に創らせていただいている楽曲であ

りますことをご了承のうえ、十四篇の世界をご堪能頂

けましたなら、幸いでございますm(_ _)m  

 

 

<江口(摂津·江口の里)>

西行に仏の道を説いた遊女が実は、普賢菩薩の化身だ

った…。能では、旅僧が「西行と江口の君の歌問答」

を江口の君の霊と話すことでそれが表現されてます。

ややこしいのでこの紙面ではご紹介しきれず、あまり

に深ーい演目でもありますので、詳しくはまた後日!

この現代社会にも「穢れ」と捉えられてしまっている

存在のなかに、とても美しい存在が化身として現れて

いるかもしれません。時折そんなふうに、この世界を

見渡すと、今までとは違う、なにか新しい境地が見え

てきたりするのかも。。。