夏降る雪の精霊 summer snow

 

夏に降る 雪の精霊 

 

あらがひの 社に 

 

降り注ぎ 

 

白く清め 積もる 

 

鎮まれ…と

 

 

 

まだ 名もない 

 

赤子の ひとみには 

 

雪の ような 

 

無垢が ひろがり

 

自他も ない 

 

われも ない

 

 

名づけられて 

 

己を 知るころは 

 

色とりどり 光わかれて

 

君を 知る 

 

われを 知る

 

 

誰のものでも ない 

 

この 社で 

 

どこの 誰かも 

 

知らない 同士で 

 

暮れるまで 

 

遊んだ日

 

 

やがて 世渡りびとに

 

なるころは 

 

まちの衆の 

 

おとなに 紛れて 

 

知恵 つけた 

 

すりこまれた

 

 ーーーーーーーーーーー

 

 はてもなき 

 この武蔵野の茅原に 

 富士ばかりこそ 

 山は見えけれ 

 (茅原浅間神社の歌碑より引用)

 

ーーーーーーーーーーー

 

誰のものでも ない 

 

この社に 

 

あらがひの 弓矢が 

 

放たれた

 

ケンカ越し 

 

あら たいへん

 

 

この社は 

 

俺らのまちのものだ 

 

いいや 

 

俺らが守ってきたのだ

 

ゆずらない 

 

埒あかぬ

 

 

昔遊んだ アイツ 

 

となりまち 

 

イヤなもんだ 

 

こんな状況

 

 

雪でも降れ 

 

夏に降れー!

 

 

(すると…

 どこからともなく 雪が…)

 

 

 

富士の いただきから 

 

雪が 舞い来る

 

夏に降る 雪の精霊 

 

あらがひの 社に 

 

降り注ぎ 

 

白く清め 積もる 

 

ふわっ ふわっ と…

 

 

 

夏に降る…

 

夏に降る…