美和紙(うるわし)

 

まちのはずれの 祠には 

風にたなびく 紙垂と紙垂

 

雷さまを 模したよな 

連なる白の けがれなさ

 

やがて 年の瀬 近づけば 

うちも神棚 紙垂づくり

  

思いめぐらす 去年(こぞ)今年 

あけゆく年を 迎えます

 

 

ここで… 

紙垂のはじまり 読みまする

 

八百萬の神 集ひて 

下枝(しづえ)に 

白丹寸手(しらにきて) 

青丹寸手(あをにきて)を 

取り垂でて

 

 

昔 かみより こうより と 

今は 紙縒(こより)と 呼ぶものを

 

糊で 固めて 染めたとさ 

めでた めでたの 水引だ

 

 

鶴や りぼんや 髪飾り 

かたどりながら 祝いごと

 

美濃の国から 来たという 

もとの繁盛は 元結紙(もといがみ)

 

(その)昔 江戸の時代 流行ったとさ

 

若い兄さん 魚河岸の 

鯔背銀杏(いなせいちょう)を 結ぶのは

 

キリリと締まる 元結紙 

文七という 腕ききの

紙漉き職人 その人が

 

江戸に持ち込み 

大流行(おおはやり)

 

浮き世元結 華やかに 

奴元結 あでやかに

ひねり元結 イカしてるう~

江戸の小粋は 花盛り 花盛り

 

春は 千代紙 鶴を折り  

夏は 短冊 願い事

 

秋は 文など したためて 

冬は 書き初め 身を正す

 

神とたわむる 紙あそび 

髪を束ねて 元結紙

 

古式ゆかしく うるわしく 

豊かなるもの この先も

 

 

八百萬の神 宿りて 

 

その手に その紙に

 

美和紙(うるわし)く  

 

雅やかに