西行桜 saigyozakura

※最下部に、演奏会での解説を貼っています※

 

 今宵 こそは 

 

 満開の 

 

 この 桜を 

 

 

 ひとり 静かに 

 

 愛でたい 

 

 けれど

 

 

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 花見んと 

 群れつつ人の

 来るのみぞ 

 あたら桜の

 咎にはありける

 

        …(和歌引用)

 

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 花に 咎は 

 

 ありは せぬ 

 

 

 煩わしき と

 

 嘆く のは 

 

 憂き世人 ゆえ 

 

 

 夢 うつつ 

 

 現れたる 

 

 翁 こそ 

 

 桜の精

 

 

 

 桜(はな)の 名所 

 

 あちら こちら 

 

 見させる さま 

 

 それは それは 

 

 また めづらしや

 

 

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 九重に 

 裂けども花の

 八重桜   

 幾代の春を  (春を)

 重ぬらん

 

        …(和歌引用)

 

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<曲の解説>

 幽玄世界のにじり口の初演(2017.12.22)にて

 お配りしたパンプレットの文章を、そのまま

 転載します。

 

 

幽玄世界のにじり口     2017.12.22.

 

本日は、ご来場いただき誠にありがとうございます!

今宵お届けする曲は、お能の演目を題材に創作させて

いただいた、十四篇の梅吉曲でございます。

 

お能について正式な知識もない梅吉の、個人的な感性

のみで、自由気儘に創らせていただいている楽曲であ

りますことをご了承のうえ、十四篇の世界をご堪能頂

けましたなら、幸いでございますm(_ _)m     

 

<西行桜(山城·西行庵)>

西行の庵には春に美しい桜が咲き多くの人々が花見に

訪れる為、煩わしく思った西行は、あくる年、花見を

禁止しひとりで愛でていました。そこへ、例年通りに

人々がやってきます。遥々やってきた人々を追い返す

わけにもいかない西行は、以下の歌を詠みます。

 

花見んと群れつつ人の来るのみぞ

           あたら桜の咎にはありける

 

美しさゆえに人を魅きつけるのは桜の罪、と歌い、

木陰に休らう西行のもとに老桜の精が現れ、桜に咎

などない!煩わしいと思うのは人の心ゆえだ!と

西行を諭します。そして桜の名所を案内しながら舞

を舞って姿を消してゆきます。曲中でもう一首有。