雪の精

 

 

あなた 

 

知っていますか

 

 

形 になって 

 

降りて 来たのは 

 

わたし でしょうか

 

 

尋ねられても 

 

わからない わたし            

 

 

あなたが 

 

気づいてくれたのは 

 

誰 ですか…

 

 

 

形のない せかいから 

 

凍える 風に  

 

乗ってきた と 

 

 

 

わたし 

 

どこから 来たの

 

 

 

どこへ 還るの

 

 

 

雪の精 だと 

 

あなたは 言うの

 

 

朝には 

 

消えても 

 

気づかない

 

 

 

 

 

 


<曲の解説>

 幽玄世界のにじり口の初演(2017.12.22)にて

 お配りしたパンプレットの文章を、そのまま

 転載します。

 

 

幽玄世界のにじり口     2017.12.22.

 

本日は、ご来場いただき誠にありがとうございます!

今宵お届けする曲は、お能の演目を題材に創作させて

いただいた、十四篇の梅吉曲でございます。

 

お能について正式な知識もない梅吉の、個人的な感性

のみで、自由気儘に創らせていただいている楽曲であ

りますことをご了承のうえ、十四篇の世界をご堪能頂

けましたなら、幸いでございますm(_ _)m     

 

<雪の精(摂津·野田の里)>

天王寺に向かう僧が、摂津·野田の里まで来ると、

にわかに空がかき曇り、方角もわからないほど大雪に

なったので、雪がやむのを待つことにしました。

そこに何処からか、ひとりの美しい女が現れました。

僧は素性を尋ねますが、雪のなかから現れたその女は

自分が何者なのか、わからないのでした。

そして、何者かわからないという迷いを、祈りで晴ら

して欲しい、と僧に頼みました。僧は、女が雪の精で

あろうと察したので、成仏を祈りました。

女は僧に感謝して、月光に衣の袖を翻し、ゆったりと

清らかに舞いはじめました。

やがて夜が明け、女は梢にかかった雪が消えてゆく様

に姿を消してゆきました。(能の解説そのまま転載)