螺鈿

 

螺鈿の花 のような 

すべてが 夢のような 

 

ときの なかを 

踊り 狂う 

名もなき 天使

 

 

ありふれた 

路地裏の 

暗闇の 片隅で

 

薄れぬまま 

からみついた影 

身に まとい

 

なにも この現世に 

怒りも 哀しみも ない

 

だからとて 

安息の 場所さえ

 

探すのを 

やめてしまった

と いうの

 

暗闇の 静けさに 

耳鳴りを おぼえれば

 

遠い 日々の 

眩しさ だけが 

おそいかかる

 

なにひとつ 

還らない 

 

過ぎたときの 

はてには

 

生まれついて

死にゆくために 

 

ただ 流れて

 

なにも この現世に 

怒りも 哀しみも ない

 

だからとて

慰めの 花すら

 

飾るのを

やめてしまった

 いうの