見も知らぬ街の
夕暮れに 遭った
名もない花は
迷いを 知らず
心地よい風に
身をまかせ 揺れる
うたがうことを
なにも知らない
戻る道は 灰色の海
私だけの 旅路の終わりに
喧噪の街をはなれた
あの日が
昨日のようで 昔のような
巡り歩いてきた
一期一会が せつなく残る
ひとたび ゆえか
戻る場所の ある者ならば
しあわせだよと
シワ枯れた手で
送り出してくれた 老人よ
あなたのように
生きてみたかった
見も知らぬ街の
夕暮れに 遭った
名もない花は
迷いを 知らない