繚乱

 

あまりにも 突然に 

なまぬるい 南風

 

あおり 立てて 

吹きすさぶ     

 

 

弥生の 風に 

めくられた 暦が

 

あまりに 早すぎると 

春を うらやんだ

 

行き急ぐ ような 

風に そそられて

 

惜しまずに 咲くという 

ときを 待たずに

 

 

かすかに 芽吹いた 

昨日の 静けさを 

 

吹き飛ばし 

 

 

桜吹雪 舞い踊る 

乱れ咲き 

はてるように  

 

思いのたけ

 

 

気の早い 春の日に 

惑わされ 狂い咲いた 

宵の闇は

 

照らし出す 

月の光も なく… 

 

 

弥生の 風は 

雪どけの 香りも

 

忘れてしまいそうに 

ぼやけている

 

味気ない ほど 

季節が うすれてく

 

身を切る 冬のはてに 

春は 居たのに

 

 

狂った 季節は 

すれ違う 人の波 

通り抜け

 

 

桜吹雪 春の宵 

散る さまは 

花びらごと 

 

椿 真似て

 

気の早い 春の日は

なにもかも 狂わせては 

 

何を 急ぐ

 

行くあて ないままに 

始まる 季節(とき)