雨のなまえのおぼえうた

 

霧雨 小糠雨 

絡んで まといつく

 

春雨 春時雨 

いつしか 菜種梅雨 

 

翠雨 緑雨 

青葉に 降り掛かる

 

草木 潤して 

そろそろ やむだろうか…

  

 

篠突く雨 ささる 

怒れる 空の声

 

肘笠 俄雨  

軒先 雨宿り

 

 

五月雨 入り乱れ 

そろそろ 栗花落かな

 

地雨の 成れの果て 

いえいえ 梅雨の入り

 

 

走り梅雨 送り梅雨 

空梅雨 もどり梅雨

 

雨傘 行き交って 

色とりどり 踊る 

 

氷雨に 逃げ込んで 

さわいだ日も 過ぎて

 

夕立 半夏雨 夏空 

容赦ない

 

 

次は 

いかなる 降りで 

まみえる

 

陽射しが させば 

虹 となって 

 

姿を 変える 

雫たち 

  

 

 

天泣 空が 泣く 

雲 ひとつ 見えぬのに

 

狐の嫁入りか 

提灯 群れなして

 

 

洗車雨 彦星が 

牛車を 洗うとか 

 

織姫に 逢うための 

想いが  落ちてくる 

 

一年 ただ一度 

逢瀬は 儚いと 

 

別れを 惜しむように 

流すは 酒涙雨

 

 

 

村雨 水色のビー玉 

散らすよう 

 

秋雨 梅雨 真似た 

秋霖 降り続く 

 

次は 

いかなる 降りで 

まみえる

 

凍てつく頃は 

雪 となって 

 

姿を 

変えてゆくのだろう

 

姿を 

変えてゆくのだろう