鬼来迎の里 sekioku

 

 

夜のさいはて 迷いみち 

 

里の辻堂 たどりつく

 

 

風は おさまり 夜は更ける 

 

あすの行方は 遠ざかる…

 

 

西へ東へ ゆこうとも 

 

みしらぬひとの 痛みなど

 

かわし続けて この先も 

 

行方知れずに なる日まで

 

 

鬼も喰わぬ 何も成さぬ 

 

この世旅 ああ…

 

 

地獄の釜が ひらく夜 

 

魔物が ユメに見せつける

 

 

己と外(ほか)の 箍(たが)外れ 

 

誰かの叫び われ叫ぶ

 

 

あらわれたり 閻魔さま 

 

どうか教えて あの娘の家を…

 

 

浄玻璃鏡(じょうはりきょう)を 

 

のぞきみた 

 

戻らぬ日々に 救いあれ

 

 

 

里の父母 嘆きつつ 

 

娘のために 寺建てる

 

ならば わたしも さすらわず 

 

ここで この身を 捧げましょう

 

 

鬼と共に 里人たちと共に ああ…

 

 

 

地獄の釜が ひらく夜 

 

供養の 卒塔婆 たてながら

 

昨日までの われを消して 

 

功徳を 積めるものならば

 

 

あらわれたり 菩薩さま 

 

授けられし 鬼たちの面

 

 

この面を あてて… 

 

のちの世までも 

 

舞いましょう

 

里の辻堂 日が暮れる