雪のなまえのおぼえうた

 

 風花が 舞う 

 

 誰の 故郷から 

 飛んできたのか

 

(銀世界に降りて)

 

 

 雪の 明かりで 

 手紙を 読んだ 

 窓辺の 蛍雪 

 

(むつのはな 咲いて)

 

 時は すぎて 

 それほど 降らぬ

 

 けれど 

 おぼえている 

 雪景色

 

 

 綿雪 粉雪 白雪 

 

 深雪 細雪 

 

(淡雪 灰雪)

 

 

 今年の 冬は 

 冷え込む そうな 

 

 あてもない 予報さ 

 

(雪は 降るのかな)

 

 

 寝坊した 朝 

 窓 あけたら 

 

 ありえぬ ほど 

 白い 雪景色

 

 

 遠くの山 初冠雪 

 

 冬なんて まだ先と 

 

 コートも 出さぬ間に 

 

 初雪が… 

 

(早雪だ…)

 

 

 雪化粧した 

 花嫁のよう 

 

 綿帽子

 

(白無垢 お嫁さん)

 

 嫁いだ夜に 

 

 垂り雪の音 

 どさり と響いた 

 

(寂しげに 響くよ)

 

 

 北国 では 

 根雪が 深い

 

 けれど 

 春も 近い 

 名残り雪 

 

 

 新雪の あと 

 陽射しに とけた 

 こしまり雪

 

(少し…かたい雪) 

 

 雪掻き スコップ 

 立たない程の

 しまり雪  

 

(翌朝 堅雪

 

 この街 では 

 慣れない 雪

 

 けれど 

 白き 天使さ 

 六辺香