邯鄲 kantan

 

(語り)

その昔…

中国の とある地方の

青年 盧生が

 

ぼん〜やりと

日々を 生きることに

悩み

 

楚の国の 羊飛山に

高徳の僧 がいると 

聞いて

 

人生の意味を 聞こうと

旅に 出たそうな~

 

(唄)

思えば 

この世は 仮の宿 

転がってゆく 

どこまでも

 

ぼやけた 日々に

憂いが さし 

故郷 後にした

 

羊飛山に 住む 

お坊様 

 

訪ねゆく 旅は 

幾千里  

 

会えたら

教えてくれるかな 

生まれてきたわけを…

 

ラララ…

 

 

雨宿りがてら 

着いたのは 

邯鄲の里 

ひと休み

 

長旅の行方 

尋ねて来る 

宿の女主人

 

それなら と

差しだす 枕は 

来し方 行く末 

悟る とか…

 

粟飯の 炊ける 

その間 

うたたね して 

待とうか

 

ラララ…

 

(語り)

宿の女主人が

粟の飯を炊きに

行くと

 

男はいつのまにやら

楚の国の帝に

なっており

 

多くのかしずく

臣下と

美しい妃たちに

囲まれ

 

国は 栄華を極め

それはそれは

愉しい宴が

夜な夜な

続いております

 

なにやら

その様子が

聴こえて

まいりました

 

それでは

我々も一緒に

興じてみましょう

 

(挿入曲)

 風見鶏

 

(語り)

もし、もし、旅のお方!

粟の飯が炊けましたよ~!

起きてくださいよう〜!

 

(唄)

女主人が 枕たたく 

またたくまに 

消え失せるは

 

楼閣と 

かしずく人々 

五十年の 栄華

 

「夢だった…」

 

おもえば 

この世も 仮の宿 

今日も 明日も 

その先も

 

すったもんだと 

日々を 連ね 

まるで 夢のようさ

 

ラララ…

 

思えば この世は 

仮の宿 ラララ…

 

だから もう帰ろう 

 

晴れ晴れと 帰ろう 

 

故郷へ 帰ろう